今回はドローンについてのお話です。

ドローンは自動車のように免許制ではないため、誰でも飛ばすことが出来ます。
但し、いつでも、どこでも飛ばして良いのか?というと各種法律や条例等に従う必要があります。

中でも一番有名なのが航空法です。

まず、場所については以下の空域については飛行が禁止されており、無断で飛行させると違法となります。
(A)空港等の周辺(進入表面等)の上空
(B)150m以上の高さの空域
(C)人口集中地区(DID地区)の上空

そして、上記の3つの空域以外であっても以下の飛行方法についての定めがあり、無断で飛行させると違法となります。
①夜間飛行(日の出から日没以外)
②目視外飛行
③第三者又は第三者の建物、第三者の車両などの物件から30m未満の飛行
④イベント上空飛行
⑤危険物輸送
⑥物件投下

上記のルールによらずにドローンを飛行させようとする場合には、あらかじめ、地方航空局長や空港事務所長の承認を受ける必要があります。

現実問題として(A)や(B)ではわざわざ飛行させる事は少ないとしても、ほとんどの地域が(C)や③に該当して来ます。
(C)については、国土地理院のホームページで確認することが出来ます。
愛知県名古屋市
三重県津市
岐阜県岐阜市
こちらを見ると、市街地や住宅街はほとんどが真っ赤で人口集中地区(DID地区)に該当します。
では、田舎の方で赤くない場所なら大丈夫なのか?ということですが、たとえDID地区でなくても③の条件に該当する可能性が高いかと思います。
例えば、ある工場を空撮する場合、周囲に全く何もなければ問題ありませんが、周囲に別の会社のビルや民家がある場合、その物件の30m未満に近付いてしまう可能性があります。
また、四方は道路に囲まれていることがほとんどでしょうから、道路の30m未満を飛行中に車両が通れば③に抵触します。
ですから、実際にはほとんどの地域が(C)や③に該当するため、通常空撮に使用するドローン(200g以上)を飛行させる場合はほとんどが飛行承認が必要になってくると考えておいて間違いありません。

(A)(B)については管轄の空港事務所長に、(A)(B)以外の承認については管轄の航空局長へ、それぞれ申請することになります。
航空局長への申請は飛行開始予定日の遅くとも10開庁日前までに行う必要があるので注意が必要です。
befreeでは全国包括申請の承認を頂いているため、10開庁日前に改めて申請を出す必要はありません。
全国包括申請の内容は以下の通りです。
・対応可能地域は(A)(B)を除く日本国全土のDID地区
・飛行方法は①夜間飛行②目視外飛行③第三者の物件から30m未満
(A)(B)や④については関係各所と都度調整が必要になってくるため、包括申請の対象から外しています。
また、⑤と⑥については、目的が空撮ではないため、対応予定はございません。

航空法以外にも小型無人機等飛行禁止法や航空局が出されているガイドラインによって飛行出来ない場合もございます。
詳しくはお気軽にお問い合わせ下さい。

以上がドローンを飛行させる上で最低限守らなければいけないルールです。
ちなみに、警視庁の発表によると2017年度に国内で航空法違反で摘発された件数は68件。
2016度年が36件だったので、倍増しております。
ドローンの高性能化で飛行させることは手軽になって来ましたが、一方で法令やガイドラインを知らずに飛行させる例が増えて来ています。
中には仕事欲しさに、法令、ガイドラインを守らずに無茶な空撮を請け負っている業者もあるようですが、飛行機やヘリコプターでも墜落する時は墜落します。
ましてや、飛行機やヘリコプターより精度が劣るドローンなので、墜落しないとは言い切れません。
万が一の場合を想定して、法令やガイドラインをしっかり遵守して運用することが重要となってきます。
格安で業務を請け負う業者は十分な調査をせずに法令違反を犯してしまう例が多いようです。
撮影料金の安さだけで選ぶのではなく、法令順守は勿論のこと安全に対する意識が高い撮影業者に依頼されることをお勧め致します。

次に資格スクールのお話です。
自身の実体験や知り合いから聞いた話などをまとめてみました。
現在、日本には主に以下の3つの資格スクールが存在します。
いずれも国交省から認定を受けている民間の資格であり、国家資格は存在しません。

管理団体名 JUIDA DPA DJI
資格名 ・安全運航管理者証明証
・操縦技能証明証
ドローン操縦士回転翼三級 DJIスペシャリスト
フライト経験 0時間でも受講可 ・フライトコース0時間でも受講可
・ビジネスコース10時間以上
10時間以上必須
費用 20万~40万円と様々 ・フライトコース 12万円
・ビジネスコース 20万円
5万~10万円と様々
講義日数 2~4日程度 ・フライトコース 2日
・ビジネスコース 2日
通常2日
講義の構成 座学と実技は半々程度 座学少なめ、実技多め 座学1日、試験1日
講義の内容 ・座学が多く知識偏重型
・実技時間は10~15時間程度あるが班単位(5人程度)で実習するため1人あたりの操縦時間は2~3時間
・座学は半日程度と最低限
・実技は実践的に様々学べる
・実技時間は12時間程度で1班3名迄で実習するため1人あたりの操縦時間は4時間程度
・講義内容としては座学が1日
・2日目は座学試験と実技試験のため、実技については学ぶ場ではなく実力を試す場

それぞれ、特徴がありますが、まず一番有名なのがJUIDAです。
スクールの数が最も多く、スクールごとに特色がある(悪く言えば差がある)のが特徴の一つです。
フライト経験がなくても受講出来ることから初心者向けのスクールと言えます。
長所としては、スクールの日程が比較的長いものが多く、ドローンを触ったことがない初心者の方が一から丁寧に学びたい場合に適したカリキュラムとなっています。
短所としては、JUIDAとしては最低限の基準しか設けてないようで、講義の内容はスクールに依存しています。
従って、カリキュラムの内容や講師の質によって、習得できる知識や技術もまちまちです。
また、実際に操縦出来る時間は通常2~3時間程度のため、かろうじて操縦が出来るようになる程度にはなっても業務で使えるレベルに到達するのは困難です。
実技試験もホバリングから始まり、斜め移動ぐらい迄のようです。

次に、DPAです。
こちらは、大きく2つのコースがあり、初めてドローンを触る方はフライトコース、慣れている方が更なるステップアップを目指すのがビジネスコースとなります。
JUIDAと比較すると、座学が少なく、より実践的な操縦を学びたい方に向いたカリキュラムとなっています。
長所としては、1人の講師が担当する生徒は3人までと制限を設けているので、講師からじっくり学び易い環境作りがされています。
また、カリキュラムもDPA全体で統一されているため、スクールごとの差は少なめです。(講師の上手い下手はありますが)
短所としては、実技が多いとはいえトータルでも数時間のため資格を取っても業務レベルまで到達するのは難しいものがあります。
また座学も少なめのため、各種法令や電波、気象等については、別途個人で学ぶ必要があるでしょう。

最後に、DJIです。
こちらは、90%以上の空撮現場で使われているドローンメーカーのDJI社が、スキルの認定を行うために行っているスクールです。
他の2つの団体のスクールと最も大きな違いは、基本的にスクール期間中にドローンの飛行実習時間はありません。
そのため、フライト経験10時間以上という受講の条件が付いています。
技術を学ぶためのスクールではなく、既に身に着けている技術を試す場と考えた方が正確です。
長所としては、既に業務等で飛行経験があったとしても知識面で不足を感じている場合、その補強が出来ることと、自身がそれまでに身につけてきた技能のレベルを客観的に知ることが出来る事です。
また、座学で使用するテキストは市販されており、実技のテスト項目も一般に公開されているため、どのスクールでも同じレベルで学ぶ事が出来ます。
生徒の多くが実務経験者なので、生徒同士で体験談を話したりの輪が広がります。
短所らしいところはありませんが、初心者向けではないということと、スクールカリキュラム内での実技練習時間はなしの一発試験なので、他の2つの団体のスクールに比べて実技試験は難しく、JUIDAやDPAへの修了生でも落ちる人も大勢します

各資格の特徴は、ざっと、こんなイメージです。
再度まとめると、初めての人は必然的にJUIDAかDPAのフライトコースになり、知識面を充実させたい人はJUIDA、技能面を充実させたい人はDPAを選ぶ形になります。
また、既に技術スキルがある人はDJIで知識面の補強をしつつ実力試しをするというのが一番現実的です。
ちなみに、私は資格を取ろうと思った時に既に数十時間のフライト経験があったため、初心者向けのJUIDAとDPAは選択肢から外れ、DJIスペシャリストの一択でした。
受けてみた感想は、非常に良かったです。
テキストが非常によく出来ているため法令やドローンに対する知識の再整理が要領よく出来たことと、自分の技能レベルを客観的に確認出来たためです。
資格取得の難易度はJUIDA<DPA<DJIスペシャリストといったところでしょう。

2017年11月に大垣のイベントでドローンが落下して負傷者が出た事故は、まだ記憶に新しいところです。
ドローンを飛行させていた業者は2年半以上の業務実績を持ちそれなりのキャリアを積んでいましたが、墜落したドローンは「自作機」であり、かつ国交省への事前申請は当日飛行させたドローンとは別のものでした。
多くの人が集まるイベントで人の上空を飛行させるにも関わらず負傷者が出る事故が発生したのは、機体に対する知識が不十分なまま自作機を飛行させたこと、国交省への申請にも間違いがあった、これまでのキャリアに対する慢心等、発生すべくして発生した事故であったように思います。
故障した時にいかに被害を最小限に出来るかは、法令をはじめ機体や天候、電波等に対する正しい知識と、事前の安全対策、ドローンを思い通りに操作できる技術にかかって来ます。
befreeでも先例に学び、正しい知識とリスク管理、技術の向上を三本柱に業務を遂行しています。

befreeの撮影プランと撮影詳細については以下のページをご覧下さい。